シャッタースピード

シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間の長さを指し、写真の明るさと、被写体の動きをどのように表現するかに直接的な影響を与える。
このシャッタースピードは、1秒を単位として表され、例えば「1/1000秒」や「1/60秒」、あるいは「1秒」「2秒」といった具体的な時間で示される。
シャッタースピードが速い、例えば1/1000秒や1/2000秒といった短い時間の場合、シャッターが開いている時間が非常に短いため、イメージセンサーに届く光の量は少なくなり、写真は暗くなる傾向がある。しかし、この速いシャッタースピードの最大の利点は、被写体の一瞬の動きをピタリと止めて写し取ることができる点だ。高速で動くスポーツ選手や、飛び立つ鳥の姿などをブレずに鮮明に捉えたい場合に非常に有効である。
逆に、シャッタースピードが遅い、例えば1/30秒や1/15秒、あるいは数秒といった長い時間の場合、シャッターが開いている時間が長くなるため、より多くの光がイメージセンサーに届き、写真は明るくなる。この遅いシャッタースピードを用いると、動いている被写体がブレて写る「被写体ブレ」や、カメラ自体が動くことで写真全体がブレる「手ブレ」が発生しやすくなる。しかし、このブレを意図的に利用することで、写真に「動感」や「時間の流れ」といった表現を加えることが可能となる。例えば、滝の流れを絹のように滑らかに表現したり、夜の街を行き交う車のヘッドライトやテールランプを光の軌跡として写し取ったりする際に、遅いシャッタースピードが用いられる。また、暗い場所で光量が足りない場合にも、シャッタースピードを遅くすることで、必要な明るさを確保することができる。
シャッタースピードとF値、ISO感度は互いに関連しており、写真の露出(明るさ)を決定する重要な三要素である。例えば、暗い場所でシャッタースピードを速くしたい場合は、F値を大きく開くかISO感度を高く設定する必要がある。シャッタースピードは、単に明るさを調整するだけでなく、写真に「時間」という要素をどのように織り込むかを決定する、表現の幅を広げるための重要な設定項目なのだ。

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